選ばれた人々

「他人にどう見られるか」を気にする人には「選ばれた人でありたい」という意識があるのではないかと考えている。

選民思想といってもいいと思う。私は他人とは違う何かを持った選ばれた人である、というか選ばれた人でないといけない、という意識であろうか。

なんでこんな意識を持ってしまったのであろうか、それが自分が生きてく上での幅を狭めたものと感じている。

自分は選ばれた人だと信じたい。正しく言えば、あの選ばれた人たちのグループに所属したい、という意識。逆に言えば、あいつらは選ばれていないからあいつらは脇役だ、あいつらとは違う存在でありたいと考える。人を大きく2つのグループで分ける考え方だ。

例えばドラえもんでいえば、のび太ジャイアンスネ夫、しずかがいってみればメインキャラクターであり、選ばれた人々である。出木杉くんは半分選ばれている。ただし主要なストーリーに参加できるのは概ねその4人だ。同じクラス、同じ町内には、その他にも個人として尊重すべき人たちがいたであろうに、その人たちは選ばれなかった。「安雄」と「はる夫」、彼らにだってきっと意思があったであろうに、素敵な特技や趣味もあっただろうに。だけど選ばれなかった。

キャプテン翼であれば翼君と岬君、石崎、若林。来生、滝、井沢、高杉まではよくても、大友カルテットではだめだと思っていた。

ドカベンだと上下や蛸田にはなりたくなかった。

マンガのストーリーと登場人物を自分の世界に投影することは誤りだ。

子を持って考えの誤りを痛感した。人はそれぞれ誰かにとってかけがえの無い価値をもつ存在であることを身をもって理解した。もちろんその親にとって。その周りの人たちにとって。授業参観のため学校のクラスに行きそれがよくわかる。この二十数人の子供たちはみな独自の個性、考え方をもっており、誰一人その他大勢のグループに所属しない。

今になってみればわかるし、きっと幼い頃からわかっている人はいるのであろう。そういう人は全てのものに価値はあるって思えるんじゃないかな。もちろん自分自身も含めて。価値を理解することは、人生を豊かにするために必要なことなんだろう。今頃気づいても遅いけど。