男女平等にかかわる問題

組織のガバナンスで重要なことは、ルールがフェアであること。組織において全員が評価され報われるなんてことはないだろうけど、ルールがフェアであれば、スタッフの意欲がベタ下がりすることはないであろうし、個々人が自分の評価に満足できなくても、組織に対して不平不満を抱くことも減るであろう。

男女平等については未だ問題を孕んでいる組織が多いのであろう。問題が難しくなるのは、当事者に加害者意識が希薄であることによる。これは当事者の生い立ちやいままでの経験により醸成された「常識」によるものだからだ。いじめと一緒で加害者にその意識は無くとも、被害者が嫌だと思っていたらそれがセクハラ、パワハラになってしまうのである。

 私が二十数年社会人として所属してきた様々な組織において、あからさまな男女不平等があったとは思わない。ただし不満を抱く女性から見たら違うのかもしれない。

男女平等を主張する女性にとって敵役は常に男性である。ほとんどの場合それは正当なものだろうけども、その男性の振る舞いの基礎となっている意識が、同じように女性に対する不満であったらどうであろう。

もちろん、猥褻な振る舞いは言語道断で否定されるべきである。しかしながら例えば、かつて負荷の高い仕事を任され、チームで対応することが必要な局面において、女性が女性であることを理由に責任を果たさなかったとしたら。その仕事のリカバーに大変な苦労をしたとしたら。男性にとって、女性に負荷の高い仕事を任さないことは、リスク管理であり、女性に対する思いやりなのかもしれない。

男性にその意識が完全に定着としているとしたら、残念ながら、彼が仕事を共にしてきた、ほとんどの女性が仕事はほどほどにに、という意識であったというのもまた事実であろう。もちろんそのような気質をもった人は男性の中にも多くいる。ただ残念ながら、組織の中に女性の在籍者数が少ないが故に、より強く印象付けられてしまった。

この問題を解決するには、誤った意識が定着してしまった男性が退場しフラットな意識を持った人が男女ともに増えることを待つ必要がある。ある程度時間がかかるものと考える。ハラスメントを声高に糾弾することは得策ではないであろう。むしろ状況を複雑化し、時に悪化させる。対立するよりは調和を図ることが長い目で見て解決に繋がるはずだ。対立するくらいなら辞めてしまった方が良い。個人の意識を変えられるなんて思わない方が良い。

さて、一点男女不平等を感じることがある。あるカフェにて個室のトイレが二つあり、一つが女性専用、一つが男女兼用なのである。

もし女性が仕事において同様な状況に置かれてきたとしたらどうか。機会を得られなくて、男性の個室が多いという不満を抱いてきたとしたら残念なことであるが、女性用の個室の新設や既存の個室を女性専用にすることを要求することはカドが立つから、男女兼用の個室を増やすための知恵を絞ることが調和を図ることなのだろう。